目次
1. 非認知能力とは
2.非認知能力の種類
・自己認識
・動機づけ・意欲
・持続力・忍耐力
・社会的能力
3.非認知能力の重要性
4.非認知能力を育てる方法
非認知能力とは
学力テストやIQテストなどによって数値化できる、計算や読み書きといった認知能力に対し、非認知能力は数値化できない心の能力のことを指します。例えば、忍耐力や意欲といった「目標を達成するための力」や協調性や共感といった「他者と協力するための力」、自尊心や自信といった「情動を抑制するための力」など、心の働きに関するものです。 OECD(経済協力開発機構)では、非認知能力を「社会情動的スキル」と位置づけし、社会の課題に対処していくために重要な能力であるとし、さまざまな課題を乗り越えるためには、認知能力だけでは不十分であり、非認知能力も必要であることを意味しています。近年、非認知能力に関する研究が日本をはじめ各国で進められており、非認知能力は幼児期より育成することが効果的であるという研究報告が注目されています。
非認知能力の種類
自己認識

自己認識とは、自分自身を正しく認識することです。自分自身を大切だと思う自己肯定感や、自分の能力を信じてやり抜く力などが該当します。 幼児期の子どもは、一番身近にいる親から愛情を注がれることで、自己肯定感や自信を育みます。自分の全てを無条件に親に受け入れてもらえることで、子どもは精神的にも安定し、自分と同じように他者に対しても思いやりをもって接することができるようになるでしょう。また、物事に対しても、自信をもって積極的に取り組むことができるようにもなります。 一方、自己認識が低いと、他人の目ばかりを気にするようになり、物事に対しても失敗を恐れて消極的になってしまいます。自己認識は、前向きに人生を生きる上で大切な能力の一つです。
意欲・動機づけ

動機づけや意欲は、目標に向かって行動を維持し続けるのに必要な能力です。 動機づけができる子、意欲のある子は、目標を達成するために失敗しても諦めずに取り組むことができます。失敗を繰り返す中で「どうして上手くいかなかったのか」「どうしたら失敗しないか」など、成功に導くための思考を働かせるため、創造力や問題解決力といった知的能力も養われます。また、目標を達成するために、周囲に左右されずに目の前の課題に取り組めるようになり、集中力も鍛えることができるでしょう。 動機付けや意欲は大人になって社会に出てからも仕事をする上で必要とされる能力ですので、幼少期からしっかり身につけておきたいものです。
持続力・忍耐力
ことわざに「継続は力なり」という言葉があります。これは途中で投げ出さずに続けることで成功につながっていくと、努力し続けることの大切さを説いたことわざです。 目標の大きさによっても変わりますが、努力して継続するということは、誰にでも容易にできることではありません。目標に向かって取り組み続けていく過程で、辛い、苦しい、不安といったネガティブな感情が沸き上がってくることがあります。このときに、自分のネガティブな感情にじっと耐えることができる力が忍耐力です。忍耐力を身につけ、途中で諦めずに努力し続けていくことで、同時に非認知能力である持続力を養っていくことができます。 持続力と忍耐力のどちらも、目標を達成するために必要な能力です。幼児期から、容易に達成できる簡単な目標を立てて、達成感を与えてあげることで、持続力や忍耐力を伸ばすことができるでしょう。
社会的能力

社会的能力にはリーダーシップや協調性、思いやりといった社会とのつながりを深めるために必要な非認知能力が含まれます。 子どもは家族やお友達同士との遊びの中で、周囲に気を配りルールを守ることや、協力しあって何か一つのことをやり遂げる大切さ、相手の気持ちに共感して思いやりを持つ、といった社会的能力を学んでいきます。これは、小学校に入学した後ずっと続いていく集団生活の中で協調と調和しながら生きていくために、必要不可欠なスキルです。 また、1人で解決できない問題も、チームで力を合わせて取り組めば解決できるというチームワークの大切さを知るうえでも、大切なスキルになります。社会的能力は他者との触れ合いの中で育まれていくものになりますので、普段から親子のコミュニケーションを活発にしたり、お友達との遊びを促してあげたりするなど、工夫すると良いでしょう。
非認知能力の重要性
近年、幼児期の教育で非認知能力が注目を集めている理由の一つに、目まぐるしく変化する社会情勢があります。IT化・グローバル化が急速に進むにつれて、社会の課題やニーズも多様化してきています。こうした社会の変容に、臨機応変に対応できる人材を育成する観点から、非認知能力に注目が集まっているのです。 非認知能力は人生を豊かに生きるためのスキルとして、日本に限らず、世界でも関心が高まっています。そのきっかけとなったのが、1960年代にアメリカで行われた「ペリー就学前プロジェクト」と呼ばれる研究です。これは低所得家庭で育てられている3~4歳の幼児を対象に、就学前教育を行うグループと行わないグループに分け、子どもを40歳になるまで長期間にわたり追跡調査して記録し続けたものです。 追跡調査の結果は、就学前教育を行ったグループが行わなかったグループに比べ、14歳時点での基礎学力、高校卒業率、40歳時点での月収や持ち家率が上回っていたことが分かり、人生の豊かさには非認知能力の影響が大きいと考えられています。将来子どもがより良い人生を歩んでいくためには、認知能力だけでなく、非認知能力もバランスよく身につけていくことが、今求められているのです。
非認知能力を育てる方法
幼児期の子どもは脳や心が発達段階にあるため、素直に物事を吸収できる力を持っているため効果が高いと言われています。
さらに、スポーツ経験のある子どものほうが、スポーツ経験がない子どもよりも、自制心、忍耐力、レジリエンス(困難から立ち直る力)、自己効力感、動機づけ(自分で目標を設定する力)、メタ認知(自分を客観的に知る力)といった非認知能力が高いことが明らかになりました。
スポーツ経験を重ねることで、「自分のパフォーマンスを高めるには何を行えばよいのか」など自分自身で考え、試行錯誤しながら今までできなかったことを成し遂げていくプロセスを通じ、非認知能力が育まれていくことが推察できます。
また、調査によると、スポーツ活動歴が長い子どものほうが、活動歴が短い子どもよりも非認知スキルが高いという結果も出ています。
「スポーツを長く続けることが、子どもの自信や自己肯定感につながる」ともいえるでしょう。

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